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恋愛工学戦士サウザーからの手紙

愛をとりもどせ‼︎

白熱教室の筋トレ談義について、紹介文書いてるうちにエッセイになってしまったのでこちらにも載せておきましょうず。

noteにアップした白熱教室のほうの音声ファイル紹介文が、書いてるうちにグングン興が乗ってきて、エッセイになってしまいました。思いのほか良い文章が書けたと思うので、そのまま転載するでござる。

  

----以下本文----

 

なぜ筋トレが好きな人は、休みの時間にわざわざ筋トレするのでしょうか?
家でビールでも飲みながら野球観てゆっくり過ごす方が楽しいと思わないのでしょうか?
ナンパがある水準以上の技術なら、街に女の子探しに行く方が楽しいんじゃないの?

さて。
それはなぜか。

答えに迫る前に、一つ解説を入れよう。
エピジェネティクスの話。
ざっくり言うと、そいつ自身のDNAには全く変わりはないが、外部環境によってある遺伝子をONにしたりOFFにしたりの調節が入り、その個体が全く違う表現型となる事。

たとえば、蜂や蟻の世界を見ると、働き蜂の♀と女王蜂の♀はDNAレベルで比較すれば全く何一つ変わらないが、若齢幼虫の時期にローヤルゼリーを食べたか食べなかったか、によって、後天的に女王蜂になるスイッチがON・OFFされる。食べた個体は女王蜂になり、食べなかった個体は働き蜂になる。
ノコギリクワガタの♂は、幼虫期の栄養や気温などの環境が恵まれていれば「水牛型」と呼ばれる立派な大顎を持った成虫になり、♀にモテまくり、セックスしまくれる。劣悪な環境で育つと小さな大顎の成虫になる。DNAレベルでは全く同じノコギリクワガタの♂なのに、一見、別種の昆虫のように違う。
マウンテンゴリラも、ハーレムの主として雌を率いるアルファメイルになると背中に銀色の鬣のような毛が生えて、シルバーバックと呼ばれるリーダー雄となる。一方で、ハーレムを持てずセックス不足でジャングルをさまよっている負け組の雄には、シルバーバックは現れない。黒い毛のまま。

ヒトの♂も、きっと何かの後天的な因子で、スイッチが入る事があるだろうと僕は睨んでいる。
これもまた石器時代の話になるが、ヒトという「動物」には、生殖して子をなす能力を失って後もずいぶん長い間生きる、と言う、他の動物には見られない極めて珍しい特徴がある。
文字が生まれる以前の世界では、「老人」の持つ膨大な知識や経験が最高にして最大の情報源であり、老人の判断が「群れ」の命運を左右し、危機を救うことが多くあったと言われている。

だから人間は、条件が揃えば長生き出来るように進化しているのである。
石器時代、本来のヒトの生態を観察すると、指導的な立場にいる老人は、群れの中の貴重な情報庫であり「社会」の宝だったと考えられる訳だ。

だが、残念なことに社会の中で「指導的な立場の老人」の椅子は限られている。
多くのヒトの♂(や♀)の中から、特別に優れた♂(や♀)だけが長生きして指導的立場に就けばよい。
それ以外の、取り立てて見識に優れない♂は、生殖期が終わって後もダラダラ長きするとそれは社会の穀潰しでしかない。無用の長物である。
おそらく人間の♂は、成人後のある段階、後天的な環境スイッチのON・OFFによって、指導的な立場になる人・ならない人の選別が、エピジェネティクスのからくりによって行われるんだと思う。

つまり、長生きしてもしょうがない♂は、早く死ぬスイッチが入り、早く死ぬための準備が始まる、と。
一方、将来指導的な立場になる♂は、身体も精神もみずみずしい状態を保ったまま中年期・壮年期・老年期へと移行できるようなスイッチが入る。
生き物の世界には道徳とか倫理とかは無くて、遺伝子を繋いでゆく目的にひたすら合理的な仕組みがあって、本当に身も蓋もなさすぎて残酷だなあと思う。

この音声テキストの中で、マッキーさん、みのさん、サウザー、三人とも筋トレが好きだと答えている。好きだからやってる、と。
嘘かどうかは生声を聴けば分かる事だが、三人とも何の迷いもなく「筋トレ好きだし」と答える。この「当たり前でしょ?」感は、文字では伝わりにくいが、音声なら伝わると思う。
そのニュアンスにこそ、音声テキストの価値が凝縮されていると僕は思うのだ。
「ああ、こんな奴、本当にいるんだ!」
と言う、脳の制限を外してくれる効果が、価値の全て。

なんで休みに筋トレするのか?仕事するのか?ゆっくり休まないの?遊ばないの?
この問いの核心に、いよいよ戻ろう。

人間に限らずあらゆる動物は、快楽を追い、苦痛から逃げるようにプログラムされていて、その通りに突き進んで行きさえすれば「遺伝子の拡散」が最大化される仕掛けになっている。そうでなければ自分の遺伝子はとっくに淘汰されて消えてるのだから、これは絶対に間違いない。
欲望のままに進めば基本的には全て上手く行くし、この点は人間も他の動物も何ら変わらず同じである。

ところが、あるスイッチの入ってしまったヒトの♂は、欲望のままに突き進むと、身体を鍛えたり、好奇心を持ち続けたり、本を読んだり、仕事を頑張ったり、ステキな女性と出会ったり、旅に出て見識を広めたり、そう言う方向に進む。
一方で、そのスイッチの入らなかったヒトの♂が欲望のままに突き進むと、ビール飲んでテレビ観てダラダラ、エロ動画観てオナニーしてダラダラ、パチンコ行ってたばこ吸ってダラダラ、と言う方向に進む。

強い男の欲望は「向上心」の充足で、
その他の男の欲望は「癒し」の蒐集だ。

趣味嗜好が、完全に変わってしまっているのである。
お互い、本能の赴くままに欲望に沿って行動しているだけの事なのだが、おそらく、将来指導者の立場になる男と、早く死ぬべき男とで、選別が入っているのだろう。
DNAレベルで見ると、たぶん両者の男はほとんど何も変わらないはずだ、と言うのが更に興味をそそる。

単に音声の紹介文を書くだけのつもりだったのに、ミッドナイトハイみたいになって、エッセイ風になってしまった。
という事で、現場からは以上です。

 

note.mu